
【ゲインロス効果】
不良が更生すると
褒められるのはなぜ?
学校で普段掃除をサボっている不良がたまに掃除をしたら褒められる。
元不良、ヤ〇ザが更生して真面目に働いているだけで偉いといわれる。
一度も人に迷惑をかけずに真面目に学校に行き、普通に働いている人より
人に迷惑をかけまくってきた不良が更生したほうが称賛される。
このような一部世間の風潮を「納得いかない」「理不尽だ」と感じたことがあるという人は少なくないでしょう。

確かによくよく考えると理不尽でおかしな風潮ですが、なぜだか「更生出来て偉い」とか「頑張ったんだね~」と思ってしまいます。
このように不良がたまにいいことをすると「すごい!偉い!」と思ってしまうのはなぜでしょうか?
今回はその辺の心理的なものを説明していきます。
見た目からは想像できないギャップの効果~ゲインロス効果~

理由の一つとして不良が良いことをしているという"ギャップ"が大きく影響していると考えられます。
理由の一つというかそれでしかないのですが、心理学的な言葉でそれっぽいものがあったので例を交えて説明します。
- スーツを着た真面目で優しそうなサラリーマンが電車で老人に席を譲っていた。
- 見るからに反社の強面が電車で老人に席を譲っていた。
1と2ではどちらがより印象に残るでしょうか?
恐らく大半の人が2の「コワモテが席を譲っていた」方と答えるでしょう。
これは見るからに怖そうで悪そうな人が、老人に親切にしているというギャップによるものです。
不良が人に親切にしていたら、誰もが「あの人は見た目不良だけど優しい」と思いますよね。
ゲインロス効果とは
心理学的にこのような現象を”ゲインロス効果”と言います。
ゲインロス効果とはマイナスの印象とプラスの印象の振れ幅が大きいほど人の心理に与える影響がより大きいという効果のことです。つまりギャップが大きいほど人の記憶・印象に残りやすいんです。
不良が良い事をしているというギャップの大きさに驚き、大きく心が動いて「不良は本当は優しい」と実際よりも何割増しか”盛って”評価をしてしまうのです。
不倫で叩かれる人、叩かれない人の違い

梅沢富美男チャンネル
逆もしかりで、普通に良い印象の人が悪いことをした時も実際よりも過剰にマイナス評価になります。
アンジャッシュの渡部健が不倫で世間から大バッシングを受けたのは皆さんも記憶に新しいと思います。
少し前にはタレントのベッキーも不倫で死ぬほど叩かれましたね。
これって不良がいいことをして褒められるのとは真逆で、2人ともどちらかというと真面目なキャラで世間的にもそのようなイメージが強かったがために、不倫というモラル違反をしたときはそのギャップ故に普通の芸能人以上に世間が過剰に反応してしまったんです。
不倫をしたのが梅沢富美男や石田純一だったら周りも「またですか」とか「不倫しそうだもんね、結婚した奥さんが悪いね」くらいなもんで
少し笑いを交えた謝罪会見をして終わりみたいな感じだったことでしょう。
不良が万引きとかカツアゲしても「そりゃするだろうね」と思われるだけですが、真面目な生徒会長のような生徒が万引きをしたとなると、周りは「えっ?まさかあの人が」と思うと同時に「真面目そうなふりしてそんなことしてたの?怖っ!逆に、怖っ!」「みんなを騙してたんだ!ひどい奴だ!」と周りは大騒ぎでしょう。
期待違反理論

ゲインロス効果とほぼ同じですが、心理学では”期待違反理論”というものがあります。
コミュニケーション行動をする際、人はその相手がどのような行動をするかについて事前にある程度予測・期待をしており、相手の行動がその予測・期待通りの行動であるか、はたまた予測・期待に反する行動であったのか、その結果が自分のその後の言動、心理に影響するというものです。
ゲインロス効果と同様、その行動が予測・期待に大きく反していればいる程その影響が大きくなります。
不良の例で説明すると一般的に不良は「悪いことをする人」と考え、事前にその通りの行動をすると予測・期待しているわけです。
その不良が掃除をしていたり小動物にやさしくしていたりすることは予測・期待に反しているのです。
予測・期待をいい意味で裏切られたので、当然驚き、印象に残り「あの人は本当は優しい良い人なんだ」と思ってしまうわけです。
ゲインロス効果をうまく活用しよう
普通の人
良い事をする⇒評価変わらず
悪いことをする⇒評価大幅ダウン
不良
良い事をする⇒評価大幅アップ
悪いことをする⇒評価変わらず
お気づきでしょうか?
「不良デメリットないじゃん」「これじゃ真面目に生きてたおれの子ただのバカでしょ」と思った方もいるでしょう。
不良は得だから今から不良になろうと思った人はいないとは思いますが、別に不良でなくとも”ゲインロス効果”は使えるんです。
自分の能力以上に大きく見せようとしない

これは個人的に実践していることなのですが、自分の能力を必要以上に大きく見せないようにするということを心がけています。
むしろ実際よりも劣っていると思われるようにしています。
誰しもが相手に良く思われたい、能力が高いと思われたいと思っていると思いますが、自分を大きく見せようとし過ぎると後々
今後長く付き合っていくかどうかまだわかっていないのならまだしも、仕事やクラスメイトなど近い距離である程度長い付き合いになる人たちの場合は第1印象を盛ってしまうと、その後苦労することになります。
例えば仕事であれば面接時に「あれもできます、これもできます」と盛りに盛って自己アピールした挙句、期待の大型新人として採用されたとします。
そうすると、人並みには仕事が出来ていたとしても、初めの期待値が高かったがために周囲の評価は「大したことない」「期待させやがって」とマイナスのものとなってしまうのです。
ハッタリをかましたところで時間が経てばどのみちメッキは剥がれ自分の能力は明らかになっていくものなんです。
なので最初は謙虚に「何もわからないのでいろいろ教えてください」など、むしろ「コイツ大丈夫か?」と相手に思わせておいた方がいいんです。
そのように少し自分を下げておけば、普通に仕事をこなしただけなのに「案外仕事はできるんだな」と思わせることが出来ます。
第1印象はむしろ悪い方がいい

人間関係・友人関係の場合は、例えば初めにいい人だと思われたいがために頼みごとを安請け合いしすぎたり無理をしていい人アピールすると、そのイメージを保つためにはずっと無理をしていかなくてはなりません。
そうしないと、一度誘いや頼みごとを断っただけなのに「なんだあいつ」「最初は良い人だと思ったのに」などと思われる恐れがあるのです。
逆に第1印象があまりいいものでなければ仲良くなった時に「はじめは印象悪かったけど実はいい奴だな」となるわけです。
第1印象で100点をとってしまったら、それ以上プラスの印象が上がることがないのです。
そもそも第1印象が100点だなと思うような人がいたらちょっと気を付けた方がいいでしょうね。
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自分に自信を持つことは大事ですが、自分を偽ったり、過剰に大きく見せようとするのは愚かな行為だと言わざるを得ません。
「能ある鷹は爪を隠す」という諺でもある通り、本当に能力がある人はむやみに自慢したりアピールしたりしないものです。
同じことをしているのに自分だけ評価されないと感じている人は、周りの人があなたを高く評価しているか、もしくはあなたの発言により周りの人に勘違いをされているのかもしれませんね。
恋愛においてもゲインロス効果は有効

ゲインロス効果って言い換えると「ギャップ萌え」みたいな感じなので、もちろん恋愛にも使えます。
・いつも粗暴でぶっきらぼうなA君が子供や小動物に優しくしている姿を見て胸アツ。
・いつも勝気で姉御肌のAちゃんが二人きりになると甘えてくる。
マンガで出てきそうなシチュエーションですが、これらはもちろんゲインロス効果なんです。
いつも穏やかで子供や小動物に優しいB君が子犬に餌をあげていても、何のギャップもないから心は動かないわけです。
甘えん坊のBちゃんが2人きりの時に甘えてきても「いつも甘えん坊だな」と思うだけで萌えないんです。
恋愛に使えるからといって意図的にゲインロス効果を狙って日々生活している人っていうのもなかなか怖いものがありますが、相手に気にしてもらいたいのであれば、あなたの普段の行動からは予想もつかないような行動をすれば相手はあなたのことが少し気になったりするかもしれません。
まとめ

今回は不良が良い事をすると過剰に褒められる風潮について心理的な面から考えてみました。
個人的には不良が良い事をして褒められる風潮については特にずるいとかうらやましいとかの感情は一切ありません。
自分に置き換えてみてください、あなたがもし「普通に仕事していて偉いね」とか「部屋の掃除が出来て偉いね」とか言われたらどうでしょう?
なんかバカにしてると感じませんか?
結局不良が褒められてるのってマイナスがゼロになったかマイナス100がマイナス50になった程度のことで、ある意味バカにされてるんですよ。
別に不良が褒められていようと子供が「ご飯を残さず食べられて偉いね~」と褒められているくらいのことと思ってスルーしてればいいんです。
少なくとも努力はしたんでしょうから、素直に称賛してあげればいいのです。