【バーナム効果】
占いが「当たっている」
と思ってしまうわけ
私は基本的に占いの類は全く信じていないのですが、テレビの星座占いや、雑誌の占いを見たりするとなんとなく当たっていると思うことが良くあります。
もちろん「適当に誰にでも当てはまりそうなことを並べているんだからたまたまだろうな~」なんて予想はつくのですが、それにしてもかなりの確率で当てはまっているような気もします。
誰もがこのように感じたことがあるのではないでしょうか?
実はこのように感じる現象にも心理学的な名前があるんです。
バーナム効果とは
占いでよくある誰にでも当てはまるようなことを適当に並べているだけなのに、なぜか自分に当てはまっているように感じてしまう現象を”バーナム効果”といいます。
バーナム効果とは、星座占いなど個人の性格を診断するかのような準備行動が伴うことで、誰にでも該当するような曖昧で一般的な性格をあらわす記述を、自分、もしくは自分が属する特定の特徴をもつ集団だけに当てはまる性格だと捉えてしまう心理学の現象。
”バーナム”というのはアメリカで有名なサーカス団を設立した興行師の”フィニアス・テイラー・バーナム”という人物から由来しています。
バーナムは心理的なトリックを使った詐欺まがいの興行で利益を得ていたのですが、彼の言った"We've Got Something For Everyone"(我々は誰にでも当てはまるものを持っている)という言葉をアメリカの心理学者”ポール・ミール”が「バーナム効果」と名付たのです。
ちなみに2017年の映画「グレイテスト・ショーマン(The Greatest Showman)」でヒュー・ジャックマンが演じた主人公がバーナムです。
また、ポール・ミール以前にもアメリカの心理学者”バートラム・フォア”が同じような心理実験をしていることから”フォアラー効果”ともいわれています。
バートラム・フォアの心理実験

バートラム・フォアは複数の学生に性格診断と称してテストを受けさせました。
テスト後、全く同じ内容の結果を学生たちに渡したのです。
テストの内容と結果は全く関連性のないもので結果内容は全員同じだったにもかかわらず、その結果を見た学生たちのほとんどが自分に当てはまっていると答えたのです。
ちなみにテスト結果に書かれていた内容は以下の通り。
- あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります。
- また、あなたは弱みを持っているときでも、それを普段は克服することができます。
- あなたは使われず生かしきれていない才能をかなり持っています。
- 外見的には規律正しく自制的ですが、内心ではくよくよしたり不安になる傾向があります。
- 正しい判断や正しい行動をしたのかどうか真剣な疑問を持つときがあります。
- あなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます。
- そのうえ、あなたは独自の考えを持っていることを誇りに思い、十分な根拠もない他人の意見を聞き入れることはありません。
- しかし、あなたは他人に自分のことをさらけ出しすぎるのも賢明でないことにも気付いています。
- あなたは外向的・社交的で愛想がよいときもありますが、その一方で内向的で用心深く遠慮がちなときもあります。
- あなたの願望にはやや非現実的な傾向のものもあります。
上記を落ち着いて懐疑的にみてみると「こんなの誰にでも当てはまるわ!」と思うものばかりですが、性格診断の結果だと渡されたものですから、誰しもが騙されるのは当然です。
さらに診断をした相手が大学教授のような信用のある人物だというのもこのテストの信用度が高くなるポイントであることも分かっています。
「占いが当たっていると思ってしまう理由」も同じことで、誰にでも当てはまるようなことを並べているのだから、その中のどれかはその人に当てはまるのは当然なのです。
試しに雑誌やなにかの星座占いで自分とは別の星座を見てみてください。
何かしら自分に当てはまると思ったところがあったはずです。
相手の見た目や年齢で内容を変化させる

バーナム効果をより信頼性の高いものにするために、相手の見た目や年齢によって内容を変えるのも効果的です。
例えば、相手が若い女性だったら恋愛の悩みを抱えていることが多いと考えられるので「あなたは今好きな人がいますね?」などといっておけば、恋をしていない若い女性は珍しいので9割方当てはまるでしょう。
相手が老人だったら「あなたは健康の悩みがありますね?」など。完全に健康でどこも悪くない老人なんてそうはいません。
以下に年代別に多いであろう悩みをまとめてみます。
年代別の悩み
- 10~20代
恋愛・友人関係・学校・見た目など - 20~30代
恋愛・仕事・将来への不安 - 30~40代
家族・仕事・身体の衰え - 40~50代
家族・健康・老後
大体このようなことを言っておけばほぼ100%の人にあてはまるのではないでしょうか。
バーナム効果はズバリ当てるというよりは如何に外さないようにするかというのが重要で、相手に「自分だけの悩みを言い当てている」と思わせられるかなのです。
バーナム効果を仕事や恋愛に応用
バーナム効果は誰にでも当てはまるようなことを、あたかもその人だけに当てはまっていると感じさせる効果です。
この錯覚はビジネスや恋愛においても応用が可能です。
ここではその一例をご紹介します。
ビジネスでの応用例

実はビジネスの場ってバーナム効果で溢れているんです。
営業さんのセールストーク、新聞広告やCMの宣伝文句。それらすべてが何らかのバーナム効果を狙っているといっても過言ではありません。
例えばYouTubeなんかでよく流れている「どんなダイエットをしても効果がないと思っているアナタ!」「薄毛対策あきらめていませんか?」など。こういった謳い文句などもバーナム効果の一種なのです。
ダイエットをしても痩せないと悩んでいる人や体型に悩んでいる人なんかは、おそらく効果のあるダイエットがあれば興味を持ちますし、薄毛で悩んでいる人は、いろいろ試した結果あきらめたという人も多くいることでしょう。
特定の悩みを持った人に対して誰しもが考えていそうなことを謳い文句にしているわけです。
また、コピー機の営業さんだとしたら「月々の複合機のレンタル代が高いと思っていませんか?」などです。そりゃレンタル代は安い方がいいに決まっていますからね。
このようにバーナム効果を織り交ぜることで、まず顧客の興味を引くことができるので、そのあとの具体的なセールスに繋げていくことができるのです。
恋愛での応用例

恋愛においてもバーナム効果を応用することで相手の気を引くことが可能です。
一例として、気になる異性に対して
「いつも頑張ってるよね!」
「いつも明るくて元気だけど、時々寂しそうな顔してるよね。」
このようなことを言ってあげると、相手は自分のことをよく見てくれていると感じてあなたのことを意識してしまうことでしょう。
基本的にみんな頑張っていることは少なからずあります。
寂しそうな顔をしているつもりはなくとも誰しも何かしら悩みはあるので「そんな顔してる時があるんだ」と自分でも気が付かなかったことまで見てくれていると思い、さらに効果が上がるかもしれません。
結局は誰にでも当てはまることなのですが、相手にとってはあなたが特別な存在のように感じて、うまくいけば相手との距離を一気に距離を縮めることができるかもしれません。
まとめ

占いなどを信じてしまう現象:バーナム効果についてまとめてみました。
バーナム効果は思った以上に生活の中の多くの場面で使われていることが分かったと思います。
バーマム効果を知ることで仕事や恋愛をもっとスムーズに進めることができるようになるほか、怪しい商品の広告や薄っぺらい宗教の勧誘などに騙されることが少なくなるでしょう。
私は基本的には占いの類は全く信じていませんし、占い師は全員詐欺師くらいに思っていますが朝のニュース番組などの占いコーナーで「今日はすごくいい一日になります」などのポジティブな内容だった時だけは信じるようにしています。
そうすれば嫌なことがあっても、無理やり「今日はいい日だからこの程度で済んだ」とポジティブに考えることができますからね。