元ドコモショップ店員が
ドコモショップの不適切メモの
問題がなぜ起きたのか
説明します。
最近、ドコモショップの控えの書類の中に「クソ野郎」と書かれた不適切なメモが残っていたっていうニュースが話題になってますね。
実は私も数年前まで10年程ドコモショップの店員をしておりました。その経験を踏まえ、メモの内容について今回の問題の原因などを深堀していきたいと思います。
- なぜこのような不適切なメモを書いてしまったのか
”親代表の一括請求の子番号です。つまりクソ野郎”を解説
”新プランにかえてDisneyはベタ付け”を解説
"バックアップめんどくさくないですか?・・"を解説 - ドコモからの締め付けによる営業強化が影響
以前は手続きのインセンティブだけで十分に採算が取れていた
併売店では施策を大量につけることにより本体料金を安くしている
ドコモからのインセンティブの減少が今回の不適切メモの原因に - ドコモショップ店員はお客さんを”クソ野郎”だと思っているのか
ドコモショップに来店している人の種類
基本的に客はドコモショップに行きたくて来店しているわけではない
ドコモショップは毎日クレーム祭り - まとめ
なぜこのような不適切なメモを書いてしまったのか
まず、なぜそのようなメモを書いたのかという問題ですが、メディアで出回っているメモを見ると
”親代表の一括請求の子番号です。つまりクソ野郎”
”新プランにかえてDisneyはベタ付け”
”バックアップめんどくさくないですか?からのいちおしパックつけてあげて下さい”
”親が支払いしてるから、お金に無トンチャクだと思うから話す価値あるかと”
このようなことが書いてありますね。
”親代表の一括請求の子番号です。つまりクソ野郎”を解説
まず、一番の問題「親代表の一括請求の子番号です。つまりクソ野郎」という内容はどのような意味なのでしょうか。
”親代表の一括請求の子番号”というのは、おそらく来店している人(クソ野郎と書かれた人)の親が代表番号となって、子番号(クソ野郎の人)の支払いも一緒にしているという意味だと思います。
つまり簡単に言うと親に携帯料金を支払ってもらっているってことですね。
いい年してまだ親に携帯料金を支払ってもらっていると推測してクソ野郎と書いているのでしょう。
”新プランにかえてDisneyはベタ付け”を解説
次に「新プランにかえてDisneyはベタ付け」という意味ですが、来店している人が旧プランだったのでそれを新プランに変更し、さらにDisneyのアプリを(おそらく有料)をつけろという意味だと思います。
あくまで私が働いていた時の話にはなりますが、ドコモショップはドコモ直営と代理店が運営しているところがあり、大部分は代理店運営です。
そして、代理店は窓口でプラン変更や住所変更など何でもいいのですが、手続きをすると変更内容に応じて、ドコモ側からインセンティブが入ってきます。
そのインセンティブ目的での”新プランにかえて”という指示と思われます。
恐らく旧プラン→新プランに変更でさらにインセンティブが上乗せになるのでしょう。
また、”Disneyはベタ付け”というのは恐らくディズニーの何らかの有料アプリを客のスマホに入れると、インセンティブが入るのでベタ付けをしろという指示と思われます。
ドコモはディズニーと提携かなんかしてますからね。私が働いているときははよくディズニーチケットなんかを貰ってました。
"バックアップめんどくさくないですか?・・"を解説
「バックアップめんどくさくないですか?からのいちおしパックつけてあげて下さい」というのは恐らく”いちおしパック”(月額500円)をつけると、自動的にバックアップされるとかそういう営業トークで、いちおしパックを勧めろという指示ですね。
それが最後の”親が支払いしてるから~”というところに繋がります。
要するに親が支払いしているということは、来店者は月々の料金が高くなってもお金に関しては無頓着だろうという推測から、付けられるもん全部つけとけっていうことですね。
ドコモからの締め付けによる営業強化が影響
さて、そもそもなぜそこまでプラン変更やアプリのベタ付けなどをショップ店員が進めるのかという点についてですが、そこらへんも解説していきたいと思います。
以前は手続きのインセンティブだけで十分に採算が取れていた
私が初めてドコモショップに入ったのは、それこそ10年以上も前なのですが、その頃は新規、機種変更、料金の支払い、プラン変更、解約など一部はネットでもできたのですが、住所変更とかプラン変更なんかの場合もショップでやる人が多かったように思います。
そして、新機種が発売されると店頭に並んだりと携帯バブルのような時期でしたので、それこそドコモもイケイケでそれぞれの手続きで入ってくるインセンティブの額も高かったんです。
それがいつからかauやソフトバンクとの顧客の奪い合い、格安スマホなどの参入、総務省からのお達しなどにより、どんどんインセンティブが少なくなっていったんです。
そうすると代理店側も他からインセンティブを獲得するしかなくなったんですね。
併売店では施策を大量につけることにより本体料金を安くしている
今もそうなのかは分かりませんが、昔はキャリアのショップ以外の街のケータイ屋さん(※以降”併売店”)で機種変更などをすると、アプリやら施策やらを十数個もつけられて「1か月後に外してください」とか言われて、それぞれの解約の仕方の表を貰って自分で不要なアプリを解約したものです。
併売店は携帯の本体料金をたくさんの施策をつけてインセンティブを増やすことによってドコモショップなんかよりも安く売っていたのです。
併売店で安く携帯を買ってすぐにドコモショップに来店し「つけられた施策を全部外して」と来店する客が多くてすごく面倒でした。
また、併売店のクレームをそのままドコモショップでする輩もよくいましたね。あなた方はそういう店で買ってるんだからサービスもそれなりだと思いなさいと常々思っていました。
ちょっと話はそれましたが、昔はドコモショップは無駄な施策をつけなくでも、プラン変更など様々な手続きのインセンティブで十分儲けられていたので併売店のように無駄にアプリや施策等の営業はほとんどしていませんでした。
むしろそういうことをしない所がショップのいいところとだと我々店員側も思っていましたし、お客さんも思っていたと思います。
ドコモからのインセンティブの減少が今回の不適切メモの原因に
併売店は安いがサービスがダメ。ドコモショップは高いがサービスはいい。
以前はそういった住み分けができていたように思います。
ところが、段々とインセンティブが絞られていくにつれ、ドコモショップでも様々なアプリや施策などを進めるようになり、ノルマを課している店舗も出ている状況になってきたんです。
そういった経緯でドコモショップでも不要なアプリ、プランを過剰に営業するようになった結果、今回の”クソ野郎”という不適切なメモにつながったのだと思います。
ドコモショップ店員はお客さんを”クソ野郎”だと思っているのか
皆さん気になるところだと思うのですが「ドコモショップ店員はいつもお客さんのことを”クソ野郎”といっているのか?」という点。結論から言うとショップ経験者の90%以上は客をクソ野郎と思っている、もしくは思ったことがあると断言します。
理由は以下に説明します。
ドコモショップに来店している人の種類
皆さんは最近ドコモショップに行かれたことはありますでしょうか?
私はドコモを使っていますが、ここ数年でドコモショップに行った記憶はありません。最後に行ったのはいつなのかも記憶にないくらいです。
そもそも、ドコモショップによく行くという人は何をしに行っているのでしょうか
最近はあらゆる手続きをネットやアプリで済ませることができます。
新規や機種変更は他の電気屋さんや併売店でもできるので、ドコモショップに行く必要はないでしょう。
ではどのような人が主にドコモショップに来店するのでしょうか?
- お年寄り
- 家族連れ
- 携帯が故障した人
- ネットではできない複雑な手続きをする人
- いわゆるクレーマー
ドコモショップを利用する客層のイメージですが、まずはお年寄り。お年寄りはドコモと言えばNTTというイメージがあり信頼感は絶大です。いまだにドコモショップ店員はNTTの社員と思っている方もいると思います。操作の仕方が分からないといって来店される方も多いです。
次に家族連れ。お子さんに携帯を買い与える際にいろいろ相談をされたりも多いと思います。お子さん用のフィルター機能の相談とか家族割・学割等ですね。
後は、解約や名義変更など本人必須の手続きやややこしい手続きをする人。
携帯が故障してしまった人も勿論来店が必要です。
基本的に客はドコモショップに行きたくて来店しているわけではない
若い人が機種変更やプラン変更なんかで来店することは凄く珍しいと思います。機種変更はもっと安い店がありますし、プランはネットで簡単に変更できます。
わざわざ混んでいるショップで何時間も待ってまでする人はあまりいません。
なのでわざわざ長い時間をかけて窓口受付をする人は、故障などで相当困っている人であったり、窓口でないとできない複雑な手続きをする人であったりすることが多いんです。
もしくは普通にややこしい人(クレーマー)・・・。あくまでイメージですが。
つまり、ドコモショップに来店する人って好きで来てる人ってあんまりいないんですよ。銀行や役所に行くのと同じような感じと思ってください。
ドコモショップは毎日クレーム祭り
ドコモショップに異常にクレームが多いのは来店する人が行きたくて行っている訳ではないことが多いという点にあると思っています。後は長すぎる待ち時間ですね。
ドコモショップで働いていた時は少なくとも1日に1回は必ずクレームはありました。またそのクレームというのが、こちらに落ち度があってクレームをつけてきているのであればまだわかるのですが、こちらに落ち度はない理不尽なクレームをつけてくるいわゆるクレーマーも凄く多かったです。
-
携帯ショップ元店員がクレームの実例とクレーマーの心理について語ります
私は以前接客業をやっていました。 「ドコモ」とか「au」とか「ソフトバンク」とかキャリア系の携帯ショ ...
続きを見る
そんな環境なので、ドコモショップ店員は少なからず客を”クソ野郎”だと思っていますし、メモには書かないにしても嫌な客にはバックヤードでもっと酷いことを言っていたりします。
接客を長くやっていると、「世の中にはいろんな人がいるんだな~」とか「この人はどのようにして社会生活を送っているんだろう」と不思議に思うくらい話が通じない人がたびたびやってきて理不尽なことを喚き散らします。
私が接客業に入ったのはよくある「人とコミュニケーションをとることが好きだから」といった理由からではないのですが、普段から「人が好き」「話せばわかってくれる」とか思っている人が接客業をやったら、人間不信になるでしょう。
まとめ
今回は元店員目線で最近のドコモショップの不適切メモ問題を考察してみました。
私がドコモショップを辞めたのは今回の問題の原因ともいえるのですが、過剰な営業をしなければならなくなってそれが嫌になったからです。
入った当時は淡々と機種変更や解約などの手続きをしていればよかったのですが、だんだんとかつての併売店のように無駄な施策やアプリをお客さんに勧めなくてはならなくなりました。
ドコモからのインセンティブが少なくなり、そのようにせざるを得なかったというのはわかるのですが、間違いなくアプリを使わないし消去の仕方もわからないおばあちゃんに1か月は無料だからと無理やりつけたりするのは忍びなかったです。
あと周りから件数が少ないだのと言われるのもうんざりだったんです。もちろん客層が悪く接客に疲れたという理由もあります。
それは、ドコモショップがかつての併売店のようにならざるを得なくさせたドコモ側にも問題はあるのでしょう。今回の件はSNSでたまたま発覚して炎上しましたが、ドコモの体制の影響で早かれ遅かれこのような問題にはなっていたんだと思います。